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認知症予防のための基礎知識!認知症の原因と初期症状

2015年3月4日

認知症の原因疾病は多岐にわたります。ここでは、代表的な認知症(アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、脳血管性認知症、前頭側頭型認知症、混合型認知症など)について、原因と初期症状を中心に紹介していきます。

原因疾病が根治できるものかどうかについても調査し、最後にまとめています。

認知症とは

認知症とは、認知機能が低下して、生活に支障が出ている状態です。

認知症の主な要件

認知症は、先天的な知的障害とは明確に区別されます。いったん正常に発達した認知機能が、その後に低下したものが認知症です。

また、認知機能が低下していても、生活に支障がなければ認知症ではありません。これは、正常な老化による記憶力低下や、軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)などで、認知症とは区別されます。

これらの区別には重要な意味があります。対処法が全く異なるためです。使われる薬や療法も異なりますし、必要な費用も違い、介護保険の要介護認定にも関係してきます。

認知症の定義は、時代とともに変化していますし少々複雑ですが、是非頭に置いておきたい主な要件は次の2点です。

  • (後天的に)認知機能が低下していること
  • 生活に支障が出ていること

認知症の定義

認知症の国際的な定義は、次のような医療マニュアルなどに、原因疾病別の診断基準として示されています。

  • ICD-10
  • DSM-Ⅲ-R
  • DSM-Ⅳ-TR
  • DMS-Ⅴ
※ ICD-10 (International Classification of Disease 10th revision) :疾病及び関連保健問題の国際統計分類』第10版 世界保健機関(WHO)
※ DSM (Diagnostic and Statistical Manual of Mental) :精神障害の診断と統計マニュアル アメリカ精神医学会

それぞれの内容については特に触れませんが、一例が、日本神経学会の『認知症疾患治療ガイドライン2010』に示されていますので、参考までに、ご紹介します。

『認知症疾患治療ガイドライン2010』(第1章 認知症の定義,概要,経過,疫学)には、ICD-10の認知症の診断基準要約として、次のように示されています。

【ICD-10による認知症診断基準の要約】
G1. 以下の各項目を示す証拠が存在する。
1) 記憶力の低下
2) 認知能力の低下
1)、2)により、日常生活動作や遂行能力に支障をきたす。
G2. 周囲に対する認識(すなわち、意識混濁がないこと)が、基準G1の症状をはっきりと証明するのに十分な期間、保たれていること。せん妄のエピソードが重なっている場合には認知症の診断は保留。
G3. 次の1項目以上を認める。
1) 情緒易変性
2) 易刺激性
3) 無感情
4) 社会的行動の粗雑化
G4. 基準G1の症状が明らかに6か月以上存在していて確定診断される。

因みに、ICD-10では、「アルツハイマー型認知症の診断基準」や「ピック病の認知症」などのように、原因疾病別の診断基準が詳細に示されています。(医療関係者でなければ、ここまで立ち入るのは難しいですし、どうしても必要というものでもありません。)

3大認知症

アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、脳血管性認知症が患者数も多く、3大認知症として特に注目されています。

認知症の3大原因疾病

現在、日本人の認知症の3大原因疾病は、次の3つです。認知症の80%から90%くらいは、これらの疾病が原因で発症しています。

  1. アルツハイマー病 (50%超)
  2. レビー小体病 (10~20%程度)
  3. 脳血管障害 (10~20%程度)
20世紀の日本では、脳血管障害が認知症原因の50%超を占めていましたが、医療の進歩や生活習慣改善の啓蒙などが効いたためか、21世紀にはずいぶん少なくなりました。現在、最も多いのはアルツハイマー病による認知症です。

アルツハイマー病を原因とする認知症は、アルツハイマー型認知症と呼ばれます。最も多い認知症がアルツハイマー型認知症です。

 【アルツハイマー病とアルツハイマー型認知症】
『アルツハイマー病』と『アルツハイマー型認知症』は混同されることが多いのですが、ずいぶんと意味合いが異なります。アルツハイマー病であっても、90歳を超えて亡くなるまで、認知症を発症しない方もいます。

アルツハイマー病とは、海馬を中心として大脳皮質の特定部位に、βタンパクやタウタンパクの異常凝集が起こり、神経細胞が破壊された状態です。神経細胞が死んでも、他の正常な神経細胞たちが頑張って、認知機能が正常に保たれるケースもあります。

アルツハイマー型認知症は、アルツハイマー病によって、認知機能が低下し、生活に支障が出ている状態です。因みに、認知機能が低下しているが生活に支障が無い場合は、軽度認知障害(MCI)と呼ばれます。

『レビー小体病』と『レビー小体型認知症』、『脳血管障害』と『脳血管性認知症』の関係も同様です。

アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症は、アルツハイマー病によって、認知機能が低下し、生活の支援や介護が必要な状態です。

原因

アルツハイマー病の原因は、βタンパクとタウタンパクの異常凝集です。βタンパクの異常凝集はアミロイドβ(もしくはβアミロイド)凝集体と呼ばれ、老人斑として観察されます。タウタンパクの異常凝集は神経原線維変化と呼ばれます。

端的にいえば、アルツハイマー病の原因は、『アミロイドβ凝集体:老人斑』と『神経原線維変化』です。言い換えれば、『βタンパクの異常凝集』と『タウタンパクの異常凝集』です。

【βタンパク】
βタンパクは脳内の生活ゴミのようなものです。正常な脳では、ネプリライシンなどの酵素で分解されますし、凝集してアミロイドβ凝集体になってもインスリン分解酵素が分解するので、そのまま蓄積することはありません。

βタンパクには、構成するアミノ酸の数の違いから、Aβ37からAβ43までありますが、主なものはAβ40とAβ42です。

Aβ42は溶けにくく凝集しやすいため、アルツハイマー病に繋がりやすいタンパクといえます。Aβ42は悪玉βタンパクで、Aβ40が善玉βタンパクといったところです。

【タウタンパク】
タウタンパクは神経細胞を維持するために必要なタンパクです。神経細胞の中には微小管と呼ばれる管状の構造があり、神経細胞に必要な物資をベルトコンベアのようにして運ぶ働きをしていますが、正常なタウタンパクがなければ働けません。

アルツハイマー病では、まずアミロイドβ異常凝集が起こり、これによってタウタンパクの異常凝集が起こりやすくなり神経原線維変化が現れます。アミロイドβ凝集体にも神経原線維変化にも毒性があり、周囲の神経細胞を破壊していきます。

以上、最も有力なアミロイドカスケード仮説での説明です。

【3型糖尿病】
アミロイドカスケード仮説の他に、脳内(特に海馬)のインスリンの不足を発端とする説などもあります。この説では、アルツハイマー病を3型糖尿病と呼び、脳の糖尿病ととらえます。

1型糖尿病では身体のインスリンが不足しエネルギー不足になり、2型糖尿病では身体のインスリンの効きが悪くなってエネルギー不足になり、3型糖尿病では脳内のインスリンの効きが悪くなって脳内のエネルギー不足になります。

脳内のエネルギー不足によって、アミロイドβが蓄積し始めます。

初期症状の特徴

『記銘力の低下』、『取り繕い』、『ニコニコしてきちんとした受け答え』などが、初期のアルツハイマー型認知症でみられる特徴です。

【記銘力の低下】

アルツハイマー型認知症の特徴は、症状が記銘力の障害から始まることです。更に、それがゆっくりと現れることです。

記憶のプロセスは、記銘(覚えこんで)、保持(維持し)、想起(思い出す)に分解できます。正常な老化による記憶力低下では、想起力が低下しますが、アルツハイマー型認知症では、まず、記銘力が低下します。記銘されなければ、保持も想起もできません。

なので、物忘れの現れ方に、下表のような違いが出てきます。

状態物忘れの現れ方
正常な老化朝食で何を食べたか思い出せない
アルツハイマー型認知症朝食を食べたことを覚えていない

アルツハイマー型認知症の物忘れでは、そもそも覚えこんでいないので、まるごと全部忘れてしまいます。覚えなかったことも覚えていないので、病識も無いことが普通です。つまり、物忘れしたことを指摘されても、それを認めることができません。

正常な老化では、何を食べたか忘れても、「朝、鮭と納豆を食べましたよ」といえば、「ああそうだった」と思い出しますが、アルツハイマー型認知症では、「いや食べてない」などとなります。再認不可です。

【取り繕い】

初期のアルツハイマー型認知症のもう一つの大きな特徴は、取り繕いです。物忘れしたこと自体忘れてしまっていても、相手が怪訝な顔をしていれば、何か忘れたことがあるかもしれないとは推量できます。

そんなときは、忘却を気付かれないように、相手の話に合わせたり、別の話題に切り替えたりします。例えば、伝言の伝え忘れを指摘されたときに、伝言を受けたこと自体忘れていても、「ごめん、テレビに夢中で言い忘れてた」などと取り繕います。

【ニコニコしてきちんと受け答え】

うつ病や他の認知症が合併していない初期のアルツハイマー型認知症では、大半の人がニコニコしてきちんと受け答えできます。多くのレビー小体型認知症が暗く小声であるのとは対照的です。流暢にしゃべりますし、ぱっと見には認知症とは思えません。

初期のアルツハイマー型認知症では、人格崩壊などもありません。ただし、症状が進んでくれば、計算力低下、理解力低下、判断力低下、実行機能障害、失語、失行、失認などの中核症状とともに現れます。

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症は、レビー小体病によって、認知機能が低下し、生活の支援や介護が必要な状態です。

原因

レビー小体病の主原因は、レビー小体です。αシヌクレインというタンパクの異常蓄積がレビー小体の主成分です。レビー小体が大脳皮質に広く現れるとレビー小体型認知症につながり、パーキンソン病では脳幹中脳に現れます。

【αシヌクレイン】
αシヌクレインの機能は明確になっていませんが、脳内のゴミというわけではないようです。シナプスでの伝達制御などの機能に関わると考えられています。単体では可溶性ですが、異常にリン酸化され変質すると凝集し、レビー小体を形成します。

初期症状の特徴

レビー小体型認知症の3大症状といえば、幻視、覚醒レベルの変動、パーキンソニズムです。アルツハイマー型認知症との対比でみると「初期には物忘れがあまり無い」ということも大きな特徴です。更に、薬物過敏性も重大で注意すべき特徴です。

これらの特徴は、必ず現れるというものではありません。例えば、パーキンソニズムが全くみられない、といったことも特に初期では多くあります。

レビー小体型認知症は、「アルツハイマーにしては動作が緩慢で、パーキンソンにしては歩行が小刻みではない」といわれます。つまり、アルツハイマー病やパーキンソン病と誤診されやすい認知症です。暗い表情であることから、うつ病とも誤診されます。

【幻視】

レビー小体型認知症では、初期から幻覚、特に幻視があらわれます。鮮やかでリアルな幻視です。本人には小さな妖精や虫や蛇などが見えていますので、例えば、存在しない虫を払い落とそうとする動作などで観察されることがあります。

【覚醒レベルの変動】

覚醒レベルの変動もレビー小体型認知症の特徴です。認知機能の動揺から、ぼーっとしているかと思えば、別人のようにハッキリしたりします。

ハッキリしているときであれば、長谷川式スケール(HDS-R)などのスクリーニング用知能テストでも高得点を示し、全く正常に見えることもあります。

【パーキンソニズム】

レビー小体型認知症では、動作緩慢や小刻み歩行などのパーキンソン症状を示すこともあります。このため、パーキンソン病と誤診されることも多くなります。

【物忘れがあまり無い】

レビー小体型認知症では、初期から記憶障害が現れることはありません。初期には物忘れが無く、アルツハイマー型認知症が物忘れから始まるのとは対照的です。

【薬剤過敏性】

薬剤過敏性は、レビー小体型認知症の注意すべき特徴です。抗認知症薬や抗精神病薬も効きすぎ、副作用が大きく出てしまいます。

例えば、アルツハイマー型認知症と誤診され抗認知症薬を服用した場合、食欲不振、嘔吐、怒りやすくなる、などの副作用が強く出て、すぐに服用中止となることもあります。実際には服用量を減らせば良く、それで副作用も消え効果も得られることが多いのです。

脳血管性認知症

脳血管性認知症は、脳血管障害によって、認知機能が低下し、生活の支援や介護が必要な状態です。

原因

脳血管性認知症の原因は、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血といった脳血管障害です。脳血管障害は、主に動脈硬化により起こります。動脈硬化を引き起こす、高血圧、糖尿病、高脂血症、高尿酸血症、肥満、喫煙などが、根っこの原因となります。

脳血管性認知症は、1ヶ所の大きな脳梗塞や脳出血で起こることは少なく、多くの場合は、多数の小さな脳梗塞によって起こります。脳梗塞の数が多いほど、脳血管性認知症の発症確率が上がっていきます。

少し古いデータですが、脳梗塞などの数と脳血管性認知症の発症確率の関係はこんな感じです。

脳血管性病巣の数認知症発症の割合
1~47.0%
5~842.9%
9~1273.2%
13以上88.6%
※ 出典 杉野正一 脳血管性痴呆の成因 臨床神経 27 1987年

【多発性脳梗塞とアルツハイマー型認知症】
多数の小さな脳梗塞については、アルツハイマー型認知症との関係も指摘されています。

『アルツハイマー病であっても、つまり老人斑や神経原線維変化があり脳の萎縮があっても、脳梗塞の数が少なければ、アルツハイマー型認知症を発症しにくい』というものです。

ナン・スタディでは、101歳で亡くなるまで認知機能が正常だった修道女の脳を調べ、重度のアルツハイマー病であったことと、脳梗塞が無かったことが確認されています。アルツハイマー病であっても、脳梗塞が無く、認知症を発症しなかった例です。

※ ナン・スタディ(The Nun Study) : 米ノートルダム教育修道女会の75歳から106歳の修道女678名を対象とした有名なアルツハイマー病研究。1986年~

因みに、アルツハイマー病やレビー小体病では、大脳皮質が障害されるのに対し、脳血管障害では、大脳白質が主に障害されます。

初期症状の特徴

脳血管性認知症の初期症状の特徴は、症状そのもので特定することはできません。脳血管障害の起こる部位によって現れる症状が大きく変わるためです。

傾向としては、「物忘れなどよりも意欲の低下が目立つ場合が多い」とか、「感情の起伏が激しくなる」とか、「アルツハイマー型認知症のような取り繕いがあまりみられず、診断テストなどでは真剣に長考する」などの特徴が挙げられています。

初期症状として特徴を示すことは難しいのですが、症状の出方には顕著な特徴があります。まだらに現れることと、階段状に現れることです。

【まだら症状】

脳血管性認知症では、できることとできないことがハッキリとしています。

例えば、『物忘れは全く無いのに服がちゃんと着れなくなる』といった具合です。逆に、『物忘れがひどいが他は正常』といった場合もあり、これはアルツハイマー型認知症の初期症状と誤診されやすいものです。

現れる症状は人によっていろいろで、出方がまだらなので、『まだら症状』とか『まだら認知症』と呼ばれることもあります。脳血管性認知症で初期から現れる症状には次のようなものがあり、これらがまだらに出現します。

  • 抑うつ
  • しびれや片麻痺
  • 歩行障害 (小刻み歩きなど)
  • 転倒しやすくなる
  • 感情失禁 (異常なほど涙もろくなったり、急に怒ったりする)
  • 言語障害
  • 判断力の低下
  • 嚥下障害 (えんげしょうがい:食べ物をうまく飲み込めない)
  • 頻尿、尿失禁
  • 意欲の低下
  • 不眠
  • めまい
  • 夜間せん妄 (夜になると意識レベルが低下)
  • その他

【階段状に悪化】

脳血管性認知症では、突然ストンと症状が悪化し、しばらくその状態を保ち、また突然ストンと悪化します。階段状の悪化です。脳卒中から3ヶ月以内に現れる急性のものではこれが顕著ですし、小さな脳梗塞が多発して起こる場合でも、やはり階段上に悪化します。

アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症では、緩やかで長い坂道を下るように悪化しますが、脳血管性認知症では、それとは対照的です。

【進行を止められる】

症状の特徴でも、症状の出方の特徴ではありませんが、『進行を止められる』というのも、脳血管型認知症の注目すべき特徴です。

アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症では、進行を遅らせることはできても、進行を止めることができませんが、脳血管型認知症であれば、適切な治療を行うことで、進行をストップできます。

脳血管型認知症の場合でも、障害された神経細胞を回復させることはできませんが、進行が止まれば、他の正常な神経細胞が頑張って新しいネットワークを作ることで、症状が改善することもあります。

このため、脳血管性認知症と、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症の鑑別は、特に重要です。もし、脳血管性認知症なのにアルツハイマー型認知症と誤診されアルツハイマー用の治療が行なわれれば、止められる進行も止められなくなってしまいます。

3大認知症以外の認知症

3大認知症ほど患者数は多くありませんが、前頭側頭型認知症(ピック病を含む)も、反社会的行動による介護の困難さから注目されます。他に、混合型認知症などの存在も知っておきたいところです。

前頭側頭型認知症

ピック病は、前頭側頭型認知症に含まれます。前頭側頭型認知症に関連するタンパクは、タウタンパクとTDP-43(2006年に発見)というタンパクです。

前頭側頭型認知症には、前頭前野の萎縮が中心のタイプと、側頭葉の萎縮が中心のタイプで、症状が異なります。

【前頭前野の萎縮が中心のタイプ】

前頭前野は『理性の座』と呼ばれます。粗っぽい言い方をすれば、前頭前野の萎縮が中心のタイプでは、理性的な行動ができなくなります。更に、病識に乏しく、自身の変化に気付きません。

このタイプの前頭側頭型認知症では、『我が道を行く』的な身勝手でわがままな子供のような行動を取るので、介護が非常に大変になります。

特徴的な症状には、次のようなものがあります。

  • 反社会的行動 (万引きなど)
  • 脱抑制 (不適切な立ち去り行動など)
  • 常同行動 (同じコースを歩きまわる)
  • 熟考することなく反射的に反応 (動作を真似る/オウム返し)
  • 食行動異常 (特定の食品に固執/丸呑み)
  • その他

【側頭葉の萎縮が中心のタイプ】

側頭葉の萎縮が中心のタイプでは、語義失語(名詞の意味がわからない)や相貌失認(人間の顔の区別ができない)などの症状が現れます。

混合型認知症

混合型認知症は2つ以上の認知症が合併した認知症です。合併することで、治療や介護の方法はより複雑になります。認知症が合併することは稀なことではなく、「アルツハイマー病の5分の1程度が脳血管性認知症を合併している」と考える医師もいます。

例えば、アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症が合併した混合型認知症を、アルツハイマー型認知症と誤診された場合、改善可能な脳血管性認知症の治療機会を逃すことになります。

うつ病とレビー小体型認知症の混合(認知症同士の混合ではありませんが)を、うつ病と誤診された場合には、うつ病のための薬が、レビー小体型認知症の薬物過敏性のため効きすぎ、副作用が重篤に出てしまうこともあります。

認知機能低下の原因疾患一覧

認知機能低下の原因となる疾患には、前述のもの以外にもいろいろあります。アルツハイマー病やレビー小体病、脳血管障害、前頭側頭葉変性症などは、根治できない疾患ですが、正常圧水頭症や慢性硬膜下血腫など、根治可能な疾患もあります。

代表的な認知機能低下の原因疾患を一覧にまとめておきます。

認知機能低下の原因疾患根治可否
アルツハイマー病
レビー小体病
脳血管障害
前頭側頭葉変性症
パーキンソン病
進行性核上性麻痺
大脳皮質基底核変性症
クロイツフェルトヤコブ病
慢性硬膜下血腫可:外科手術
正常圧水頭症可:外科手術
脳腫瘍可:外科手術
脳炎・髄膜炎
甲状腺機能低下症可:甲状腺ホルモン剤
脳下垂体機能低下症
ビタミン欠乏症可:ビタミン投与
薬物中毒